今年は梅の開花が早いですね。

 

「木のいのち 木のこころ  

 小川三夫 著   草思社」

を読みました。

著者は宮大工で、

最後の棟梁と言われた

西岡常一さんのお弟子さんです。

西岡さんは、

世界に誇る木造建築、法隆寺大工の棟梁だそうです。

西岡さんから小川さんに宛てた

手紙の言葉が素晴らしいのです。

 

「~聖徳太子 伽藍草創の聖意は、

三宝によって国土開発、

民生の安定をこいねがわれてのことです。

~日本先年の文化はこの塔、柱が

支え通してきたと信じています。

人間生活のいつわりない希望を理想を、

物によって表現されたもの、

即ち心の表現こそ芸術というものでしょう。

単なる形だけにとらわれた作品は

本当のものではありません。

作品を通して世の人々に何物かを

呼びかける心が宿っていなければなりません。

堂塔建築の基礎は、この心の問題です。

~技術の優秀さは、この心の上に花開くものです。

見る人の胸に何物かを刻み付ける作品、

それは作る人の魂の深浅によって決まります。

精進又精進を祈ってやみません。~」

 

音楽も全く同じだと思います。

美しい音楽を紡ぎ出そうとすれば、

技術だけでは、あまりにもうすっぺら。

奏者の虚栄心のみで、作品の心は何も伝えられない。

作品をイメージする。理解の努力をする。

そして何か伝えたいという、

最初に心ありきなのではないでしょうか?

指導も、

技術は心を伝えるための手段で、

心こそ大切なんだと

いうことを措いておきたいと思います。