耳を澄ますと、

どんぐりのこぼれ落ちる音が聞こえてきます。

紅葉したもみじが、ゆっくりと舞い降りていきます。

 

その様子を見ていたら、

「葉っぱのフレディ」という絵本を思い出しました。

フレディは仲間と季節を謳歌します。

でも秋になって、みんなが一枚ずつ散っていく。

「どうしてなの?僕もなの?いやだ、こわいよ・・・」

優しく答える声があります。

「こわくなんかないんだよ。自然のことなんだ。

回りまわって僕たちは、また生まれ出るんだ」

 

私の父が亡くなったのも秋でした。

フレディ以上に怯えていました。

これでは死んでも死にきれない。

死を受け入れることについて、一生懸命父に話したのです。

最期は、見たこともない穏やかな顔だったのが本当に救いでした。

 

一生懸命生きないと、自然に風に舞うように、

死んでいくことは難しいと思います。

 

そんな時、偶然聴いたラジオのピアノ曲に、

人生の厳しさ、それでも生の優しさと意思が感じられて、

泣けてしまいました。

シューベルトのソナタD959、マレイ・ペライア演奏。

演奏家の人生が、作曲家の人生に共鳴している。

辛い試練にあって打ちひしがれても、希望を失わない人生。

 

生きるってどういうことだろう?

私たちは何を目的にしているのだろう?お金?

後世に何を残せるのだろう?

 

現代では、死はタブーとされていますが、

死を意識することで初めて、

生きることについて真剣に考えることもまた、

大きな意味を持つのではないでしょうか。