暑い日差しですが、元気に咲く花もありますね。
今日は、お子さんがピアノの練習をしない時、何が大事なのかを
お伝えしたいと思います。
この考え方が分かると、ご家庭でも困った時に生かせるので
ぜひ読んでみてくださいね。
先日ブローチをプレゼントしてくれたお子さんのお話です(→こちら)。
そらくん(小学3年生、仮名)は、ピアノは大好きなのですが、
毎日コツコツ練習するのがニガテです。
というのも、間違えて途中で演奏が止まると、
「できない!」と思ってしまうからでした。
それも1回目で。そんなのは誰だってできるはずがありませんね(笑)!
私は、「すぐに弾けないのは当たり前なんだよ。だから毎日弾いてみよう」
と励ましたり、
時には叱咤したり、
コロナ前にはグループレッスンをして動機づけをしたりしていました。
それでも、どうも練習はやる気が出ない。
お母さんも、そらくんが練習しないのを気にされていました。
そこで私は考えました。
「そらくんはピアノは練習しないかもしれない。
でも練習の目的は、継続することや間違えてもチャレンジすることだ。
それならば、ピアノ以外に、そらくんが毎日好きで続けていることは
ないのだろうか?
間違えても繰り返ししていることはないのだろうか?」
お母さんにはこう尋ねました。
「そらくんがおうちで毎日していることはありませんか?」
「そういえば、毎日お手伝いをしてくれますね。」
「じゃあ、そのお手伝いの様子を写真に撮ってメールで送ってください。
できれば毎日お願いします。」
すると、そらくんは本当に毎日お手伝いをしていることが分かりました。
お料理に、お風呂掃除、布団敷き、下の兄弟のお世話など。
また、お手伝い以外にも、フラフープが得意なことが分かりました。
送ってくれた動画を見ると、練習しています。
日を追うごとにどんどん上手になっています。
私は「毎日続けられてすごいね!」と返信していました。
メールと動画のやり取りを通して、そらくんはピアノは毎日弾かないけど、
お手伝いやフラフープなど、毎日継続していることや、楽しく努力していることも
あると分かりました。
態度はぶっきらぼうだけど、大好きなお母さんを喜ばせたいと思って
お手伝いをしていることも分かりました。
しかし、ピアノの練習にはなかなか結びつかない。
そうこうするうちに発表会も近づいてくる。
またお母さんにお願いしました。
「一度ご本人の気持ちを聴いて話し合ってみてください。
そらくんはこれからピアノをどうしたいのかな。
発表会はどうするのかな。
お母さんのためでなく、自分がどうしたいのか考えるように言ってくださいね。」
数日後、お母さんはこう答えてくれました。
「そらは、『発表会は出たいのでそれまで頑張ってみる。
その間にどうしたいか考える』と言っています。」
こうして先日のレッスンでは、なんと『エリーゼのために』に
チャレンジすることができたのです!
繰り返し何度も弾いていました。
そらくんならではの、しっかりとした音色の『エリーゼのために』でした。
自分で決めると、こんなふうに頑張れるんだなと思いました。
そらくんのお母さんも、とても喜んでいました。
同時に、そらくんは自分のできることを認めてもらえたから、
元気のもとになったんだなと感じました。
もし私がピアノだけ見ていたら、「練習しないとダメじゃない!」
となっていたことでしょう。
そうすると、そらくんはどんどんピアノが負担になってしまったことでしょう。
実際、大手のピアノ教室の中には(すべてではないですが)、
ピアノを教えることにしか興味がない先生もいます。
ピアノの練習は確かに大事なのですが、
「ピアノの練習を通して大事なことは何か?」という視点も必要です。
この視点があれば、継続することや、間違えてもチャレンジすることが
大事だと分かり、さまざまな対応ができることに気づきます。
この日、そらくんは私に、自分で作ったト音記号のブローチを
プレゼントしてくれました。
私も、ごほうびをもらったような嬉しい気持ちになりました。
カウンセリングピアノ教室では、このような視点でレッスンをしています。