レッスンでのカウンセリング効果について、シリーズで書いてみたいと思います。

効果はたくさんあって書き切れないので(笑)、テーマに分けて書いてみることにしました。
今日のテーマは「自発性を促す」です。


小学2年生のさくらちゃん(仮名)。

真面目な頑張り屋さんです。

その反面、少しできないところがあると、「全然できてないからダメ」と自分にも人にも厳しいところがありました。

ある日、さくらちゃんは「ピアノやめたい」と言いました。
そして何か言いよどんでいます。

私「どうしてそう思ったのかな?」
さくらちゃん「宿題が多くなって大変だし、夜は早く寝なくちゃいけない。ピアノの練習ができなくなるからやめる」
私「宿題はそんなに大変なの?」
さくらちゃん「……」

私「何か気にしてることがあるのかな?言いにくいことなのかな?」
さくらちゃん「(今まで学校などで言い方を注意されたので)言い方を気にしてる」
私「じゃあ今は言い方を気にしなくていいから、言いたいことを言ってごらん」

するとさくらちゃんは、ピアノができないと思っている状況や理由を、いろいろ話してくれました。
時間にして30分くらいでしょうか、そんなに言葉が出ることが逆にすごいですよね(笑)。

一通り聴いた後、私は言いました。

私「なるほど、ずいぶんいろいろ考えていたんだね。でもピアノができないからやめるのは先生は賛成できないなあ。少しでも弾けている時はあるし、上手になっている部分もあるのに、それを全然出来ないからダメって思うのは、残念だと思うよ」
さくらちゃん「ふ~ん……」

でも、さくらちゃんはたくさん話し切ったせいか、帰りは「すっきりした~」と言って帰って行ったのでした(笑)


翌週、さくらちゃんはとてもすっきりした顔で、やってきました。

さくらちゃん「宿題は今はまだできそうだし、ピアノもせっかく習っているから、もっと上手になって一人でも弾けるようになってからやめる。それまで続ける」
私「それはよく考えたね。お母さんと一緒に考えたの?」
さくらちゃん「ううん、一人で考えて決めた」

その日のレッスンでは、いつもにも増して意欲的にレッスンに取り組み、新しい曲集に進むこともできました。

お迎えに来たお母さんに尋ねると、ピアノの継続について確かに二人で話してはおらず、本人が考えたと言っておられました。

さくらちゃんは、絡まっていた気持ちを「ピアノをやめる」と言うことによって、表現したかったのだと思います。

言い方を気にしたり、練習ができないことを気にしたりと、「ちゃんとしたい」「いい子になりたい」という気持ちが人一倍強いからこその葛藤があったのですね。
それを言葉で発散できると、自発的に、どう進むか決めることができた。

このように、自分の言葉で話させてあげると自発性が発揮されるのです。
自発性を発揮することで、少しずつ進む過程も大事なことが経験できるのです。

「私が」教室の経営を考えて引き止めるのではなく、「お子さんが」本当は何を言いたいのか、お子さんの成長には何が必要なのか?を本気で考えます。
そのために、ただ漫然と聴くのではなく、カウンセリングの質問スキルを駆使しています。



次回は、「親子のコミュニケーションアップ」について書きたいと思います。